家づくりコラム

注文住宅の間取りの作り方。知っておくべき10のポイント~前編~

間取りづくりのポイント1 家族の希望を話し合う

家づくりを始めるにあたってまずしなくてはいけないのは、
家族みんなでそれぞれの希望を話し合うことです。

間取りづくりのポイントとしてはちょっと物足りない…
もっと技術的なことを知りたい…
そう思う方がいるかもしれませんが、少々焦らずに聞いて下さい。

家族の希望をきちんと話し合っていくことは、
家づくり、特に注文住宅では非常に重要な基盤になります。

脅すわけではありませんが、家族の話し合いができていないばかりに
下記のような失敗例があります。

ケース1
ご主人がワンマンで間取りづくりを進め、打ち合わせもご主人のみ参加。
契約も済んでいざ工事という段階になって、奥様が「やっぱりどうしてもイヤ」
と泣きながら訴え、結果住宅会社との契約も破棄に。
数百万円の違約金を支払いはめになった。

ケース2
間取りづくりにとことんこだわる奥様と、無関心なご主人。
何を相談しても「任せるよ」とばかり言われ、奥様は次第に荷が重く感じ始める。
床材や壁材、外観のデザインまですべて一人で選んでいくうちに、
次第に孤独を感じ始め、こんなことなら家なんか建てたくなかった、と後悔。

ケース3
ご主人の両親との二世帯住宅を検討していたご夫婦。
ご両親の要望を片っ端から「そうじゃなくて、…」「俺たちに任せれば安心だから…」と
説き伏せてきた結果、契約直前にご両親が資金援助をしないと申し出る。
結果、住宅ローンを組むことができず家づくりは白紙に。

まさかと思うかもしれませんが、住宅という大きな買い物では
このように直前に誰かが「やっぱり…」と言い出すケースは少なくありません。

家づくりは、家族それぞれの思いを再確認する良い機会です。
あなたがこれからつくるのは、家ではなく家族の生活なのですから、
「任せる」「任せて」なんてことにはならないはずです。

家族の希望を話し合うさいには、まず
それぞれが不満に思っていること、不便に思っていることを書き出してください。
「キッチンの収納が足りない」や「落ち着いて仕事できる場所がない」など、
なんでも構いません。とにかく一度すべて不満点を並べて下さい。
中には、お互いが気づいていなかった不満点が出てくるかもしれません。

すべてを新しい家で解決できるかどうかは分かりませんが、
少なくとも、お互いの気持ちを理解し合うということで
より良い家族の生活にすることができます。

新しい家を建てるということは、新しい家族の生活をつくることです。
そう考えたら、家族の話し合いが家づくりにおいて最も重要なステップの1つ
であることをご理解いただけるかと思います。

間取りづくりのポイント2 住宅展示場や見学会で実際のスケール感を体感する

家族の話し合いでそれぞれの不満点を一通り洗い出したら、
次は住宅展示場や完成見学会などで、実物を体感してみてください。

例えば、「キッチンが狭くて料理しづらい」という不満点があれば、
どれぐらいのキッチンなら使いやすいか、を体感しに行きます。

ここでの注意点は、“家族の不満点を必ず先に書き出しておく”ことです。

上の例えで言うと、仮に「キッチンが狭い」という不満点を認識せずに住宅展示場に行ってしまった場合、おそらく素晴らしく広いリビングに先に心を奪われてしまうでしょう。
そうすると「うちもできる限りリビングを広くしよう!」と
「不満の解消」をする前に「希望」を優先してしまうため、
リビングを広くした結果、キッチンはさらに狭く使い勝手が悪くなった、
なんてことが起こり得ます。

また、住宅展示場と完成見学会の違いもしっかりと認識しておいてください。
住宅展示場は、各会社がつくり得るそれぞれの技術と設計力の最高傑作です。
お察しのとおり金額も相応になっています。
住宅展示場と完成見学会の違いについては、こちらの記事をご覧いただければと思います。

広さのスケール感だけでなく、予算のスケール感も体感して頂くためには、
住宅展示場よりも完成見学会をお勧めします。
完成見学会は、実際にあなたと同じような施主さんがいて、
あなたと同じようにローンを組んで建てた家です。

ご自身の予算でどれぐらいの家が建てられるのか、
どの程度まで自分たちの要望をかなえられるのかを、
実際に建てた方の家で体感してみてください。

間取りづくりのポイント3 間取りは家の中だけでは完結しない

間取りを考えるとなると、ついつい「リビングの隣に和室があって…」と
部屋の配置ばかりに目がいってしまいますが、
実際に家を建てるときには、敷地との関係が非常に重要になってきます。

普段車を使うのであれば駐車場から玄関までの動線を考えたり、
隣の家との距離から日当たりを考えたりしなくてはいけません。

これをしないと、南向きの大きな窓のあるリビングをつくったのに
真向いのお宅と目が合ってしまい、いつもカーテンを閉めっぱなし、
なんてことになってしまうかもしれません。

土地が広大ではない日本の住宅では、間取りづくりは敷地の状況にかなり左右されます。
すでに建築地が決まっている場合は、
周辺の家の配置(庭や駐車場、できれば窓の位置なども)を紙に書き落とし、
その敷地図の中で間取りを検討していきます。

土地をこれから購入するという方、
「まず土地を買わなくちゃ間取り決まらないじゃん」と思わないでください。

土地がまだない方は、土地ありきで間取りをつくるか、間取りありきで土地を選ぶか、
まだ選択の余地があるということです。

街の環境や学区を重視して土地の条件が優先な方もいれば、
先に理想の間取りを決めて、その間取りが収まる土地を探す、という方法もあります。

家族の話し合いでどちらを優先するべきかを決め、
間取り優先であれば先に間取りに着手してください。

間取りづくりのポイント4 間取りに影響する建築の法律や規制

ポイント3の「敷地の制約」の一部とも言えますがが、
日本には、建築物に関する法律や規制がたくさんあります。
これは「公共の福祉」に基づいた考え方で、
誰もが安全に、快適に暮らせるためのルールです。

代表的なものに、建ぺい率、容積率、斜線制限、地域区分などがあります。

建ぺい率・容積率は、その土地の中で、どれぐらいの大きさの家を建てて良いか、
という基準です。家の大きさは、この基準より小さくなくてはいけません。

土地情報を見ると、建ぺい率50%・容積率80%といった数字が記載されています。
例えばこの場合であれば、100㎡の土地に、50㎡以上の家を建てることはできません。

また、容積率とは、敷地に対しての延床面積(すべての階の面積の合計)の割合です。
上の例で言うと、100㎡の土地に対しての延床面積は80㎡になるので、
1階を50㎡にした場合、2階の床面積は30㎡以内にしなくてはいけません。
または1階と2階をそれぞれ40㎡にして総二階にすることもできます。

建ぺい率と容積率は、両方満たさなくてはいけません。

次に、斜線制限とは、道路斜線制限や北側斜線制限など、
街の景観や近隣の土地の日当たりを確保するために設けらた高さ制限のことです。

下の図のように、敷地に対して斜めにひかれる線を斜線制限といい、
この線をはみ出して家を建てることはできません。

また、図の中にある「絶対高さ制限」とは、
その土地の地域区分によって決まります。

地域区分には2種類あり、住宅用・商業用・工業用など、
土地の用途を指定する区分と、
防火地域、準防火地域といったように、
火災への対策の基準によって区分されているものがあります。

小屋裏収納をつくりたいのに斜線制限に引っかかってしまった、
1階を大きく2階を小さくしたいのに建ぺい率を超えてしまう、
そんなことにならないように、あらかじめその土地に関わってくる規制を調べておく必要があります。

間取りづくりのポイント5 収納スペースの賢いとり方

日本の家庭は世界的に見ても“物が多い”と言われています。
これは、日本の気候にも関係があり、衣類や家電などの“季節もの”が
どうしても増えてしまうという要因があります。

断捨離やミニマニストといった言葉も最近流行っていますが、
ここでは、一般的な日本の家庭についての収納目安をお話しします。

まず、間取りを考える際の収納の目安として、
「収納率」という言葉があります。
家全体の床面積に対して、収納スペースの床面積がどれだけあるか、
という数値です。

団地などのアパートでは8%前後、家賃の安い物件だと5%というものもありますが、
一戸建ての住宅の場合、収納率の目安は10%前後と言われています。

8%では足りないと感じる方が多い一方、
収納は多いに越したことはない!と張り切って15%以上にしてしまうと、
居住空間を圧迫してしまうことになりますので、バランスが重要です。

特に、収納スペースを増やせば増やすほどモノが捨てられなくなる、
という傾向もありますので、注意が必要です。

ただ、収納率はあくまで目安です。
本当に重要なのは収納率よりも、適材適所にスペースを配置することです。

よくある失敗例として、大きな収納部屋を2階につくったら、
掃除機もホットプレートもゴルフ用品も全部2階に取りに行かなくてはいけない!
というパターンです。

毎日リビングで使う掃除機はリビングに、ダイニングでしか使わないホットプレートはダイニングかキッチン廻りに、思いゴルフセットは玄関廻りに、これが適材適所です。

また、タンスなどの箱物家具を置く予定の場合は、
あらかじめ置く場所を確保しておかなくてはいけません。
その際には、家具の寸法だけでなく、
家具を使うとき、引き出しを開けるスペースも計算に入れて下さい。
置けたけど使えない!なんて失敗談は意外によく聞きます。

ちなみに、タンスを一竿置いた8帖の和室よりも、
押し入れ付き6帖の和室のほうが使い勝手が良い、という統計があります。

箱物家具は天井いっぱいまで有効活用するのが難しいうえに、
部屋の輪郭に凹凸を作ってしまうため、部屋の使い勝手が悪くなるようです。

後半へ続きます。